脳卒中(特にTIA)にならないために(その4)★ほおっておいたら一巻の終わりだった

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二回目のステント手術しました(1回目から10か月後)

内頚動脈狭窄症の“根本原因判明”がわかり“名医”にも巡り合えた

初稿2023年12月17日

内頚動脈狭窄症は、頸動脈がプラーク(血栓)によって詰まり、脳内の血流が不足し、目の異常(目の半分にカーテンが下りたようになる黒内障など)、手足のしびれ、めまいなどを引き起こします
似たような病気で”もやもや病”というのがありますが、原因が確定している内頚動脈狭窄症とは異なり難病指定となっています
”もやもや病”は2018年にシンガーソングライターの徳永英明さんが罹患した病気です

昨年2022年、飛蚊症と目の半分にカーテンが下りたようになることが時折起こり、眼科に診察してもらったが、異常なしでした
不安になり主治医に相談したら、脳血流を調べてみましょうということになり、12月に検査をし、2月にステント手術したことは、前回詳細にレポートしました
その際、下図左のように内側頚動脈(脳内への血管)が枝分かれの箇所に狭窄症があり、ステントをいれて処置をしました(右側)
脳の後ろ側にいく内頚動脈で、ここが詰まると脳幹に血流が行かなくなり脳死と判定されます

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その際、前回より前側にも狭窄症があることが画像下の図(上側)よりわかりました
下側は3年前の画像で、上側は昨年12月の画像で進行していることがわかっていました

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そのため今年1月に再検査をしたのが下図です

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下は拡大図です 細くなったすぐ下にプラークで突起状になっていることがわかります

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ここが詰まってしまうと、下図の右側の図のように広範囲に渡り血流がなくなり半身不随など重度の場合は全脳死になる

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第二次ステント手術

事前準備のための検査結果から手術が決定しました

スケジュール:12月10日入院、11日手術、17日退院

事前検査
1.脳血流検査
造影剤をつかった脳のMRI検査で、2泊3日の入院検査

2.スペクト(SPECT)検査
脳の血流状態や脳の働きを診る検査で、MRIやCTではとらえられない早期の血流や病巣の検出をします
時間は20分くらい
放射線によるアルツハイマー型認知症やパーキンソンなどの検査手法です

3.心筋血流(シンチ)の検査
冠動脈狭窄、狭心症、心筋虚血を調べる検査
脈拍数が最大になるように自転車こぎを行い安静状態になったときのデータ差異により診断する
また、トレーサー(ガンマ線に反応する物質)を体内に注入して、ガンマ線で心臓に集まるトレーサーの検出を半日かけて行う
カテーテルを入れた時に心筋梗塞などのリスクがあるため、安全に手術を行えるよう心臓の状態を調べる検査

4.心エコー
心筋梗塞、冠動脈狭窄など心臓全般の検査をしました

5.血管エコー
頸動脈の血流を検査しました

6.手術におけるリスク
・脳梗塞
・心筋梗塞
・腎臓障害

事前検査の結果、二度目の手術がGoとなりました

<事前準備>
・足の付け根(鼠径部)から動脈にカテーテルを入れるため、鼠径部の剃髪をして看護師のチェックを受けます
12時に手術室に入り、1430まで頭などが身動きできない状態にさせられました

前回は全身麻酔でしたが、今回は局所麻酔でした
なぜかと医師に問うたら、全身麻酔は患者の反応で確認ができないため比較的難易度の低い手術ですが、局所麻酔は手術中に脳梗塞が起きやすく、医師が名前を呼んで手に掴んだボールをつぶすと音が出ることにより意識を確認するため、リスクが高い手術だと理解しました

まず、30分くらいかけて患者の物理的状態を整えてから始まります
身動きできないように頭もしっかり固定します
左右の腕などに、血圧測定、採血の注射や点滴を施します(下図)

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血圧測定は動脈に管を入れるものと、通常使う布の測定器を腕に巻きダブルで測定します
血圧が120-140の範囲になるように降圧剤を適宜注入します(範囲から外れると警音が鳴ります)
最後に足の付け根から動脈に管を入れますが、局所麻酔の痛み止めを入れても痛いのなんの、体の芯から痛みが突き上がります
血栓防止に血液サラサラの薬を飲んでいるため、動脈から出血しやすいので輸血の準備もします

手術

カテーテルが患部に到達するまで何の感触もなく、その間に何度も(15回くらいかな)造影剤を注入され撮影します
“息を軽く吸って止めて”と言われた瞬間に造影剤が入ってきますが、体が熱くなりキラキラ花火をみているような映像が見られます
前回と同じ手順だと思いますが、慣れたせいか今回は気持ち悪くなりませんでした

ステントを入れる手順は、
①狭窄を起こしている患部の手前でバルーン(風船)を膨らませますが、その際急激な血流を避けるために血圧を下げます
血栓を発生させないため血液サラサラの薬を飲んでいるため、脳出血が起きやすい状況になっています
②次に患部の先から剥がれたプラークをキャッチする網状のような籠を患部の先におき、狭窄を起こしている患部でステントを拡げます
③最後に剥がれたプラークをキャッチした籠を回収して、カテーテルを抜きます
 手術は2時間ほどで終わり、意識があるまま別室でスペクト検査を行いました(30分)
次に別階のICUに直行し朝まで下半身を固定したまま寝ます
今回は個室でしたので、前回のように他のモニターの警報音がうるさくて寝られないということもなく、快適に過ごせました

さすがに朝まで12時間以上あり、いくら寝ようとしても時が過ぎず、2時過ぎになってやっと寝付けたようです
朝まで水も飲めず、下半身は動かせず、つらい姿勢まま待望の6時を迎えました
何しろ昨日の朝から絶食でしたので、腹ペコでした

手術後の翌日
7時に待ちに待った朝食がきて、8時からMRI検査(20分)など細かい検査をこなしました
昨日のスペクト検査は脳の物理的な形状を診るもので、脳梗塞等があるかないかが分かります
今回のMRI検査は脳の血流が充分かどうか確認する検査で、画像に血管が赤く見えます
先生の回診を待ち、動脈からの出血などの問題が全くないことがわかり、手足の管が外されました
今日から3日間抗生物質の点滴が始まりました
この件での検査はおしまいとなりましたが、あと4日間も予後の様子見となります

内頚動脈狭窄症の原因

①放射線治療の後遺症
13年前に中咽頭画がん(扁桃腺)治療の際に顎から首にかけて45GY(グレイ)の放射線治療が原因だということが医師の説明で判明しました
5年後に脳梗塞で亡くなる患者の原因に放射線治療が原因だという事実があります
放射線治療の晩期後遺症に“血管が細くなる”というのが医療の研究が進み最近わかってきました
私が放射線治療を受けた当時は、ピンポイントに放射線を当てる陽子線治療もありましたが、まだ日本には普及してないため保険も効きませんでした(治療費は300万円くらい)
照射範囲の広い放射線治療を医師の言うまま、最大の45GYもうけてしまいました
術後医師から今後10年間は虫歯の抜歯はできないと突然言われました
骨髄炎になる可能性があり、かかると顔の造作が変わると脅かされました
当時親知らずに虫歯が3本あり治療をする予定でしたが、時すでに遅しで入院設備のある歯医者で抜歯するまで、10年間我慢することになりました

早期後遺症も酷く3年ほど苦しみました
・舌の味ツボが破壊され味覚がなくなり食事の楽しみが無くなった
・下顎の唾液腺(顎下腺)が破壊され耳下腺だけになり、唾液が半減以下になったため、食事が喉を通りづらくなりました
顎下腺はねばねばした粘液性分泌液でありほとんど出ず、唯一出ている耳下腺はさらさらした分泌液ですので、今でも唾液による消化機能の低下や口内炎、虫歯になりやすい状態です
甘いものやうまみなどを感じることができなくなった味ツボは数年で生き返るが、下顎の唾液腺は一生復活しないということでした

放射線治療にはこのような隠れた副作用があるということを知っておく必要があります
医師によって説明が不十分でした
数週間後首の粛清手術をすることになっていたが、セカンドオピニオンを受けた結果、手術前日にやめることにしました
その後この病院では粛清手術はしなくなった、と担当医師から聞きました

②コロナの後遺症はあったか?
コロナウィルスは脳梗塞を誘発するという情報がありました
ワクチン接種後5年後には高齢者の多くが脳梗塞になるということがまことしやかに噂されていました
2019年10月、まだコロナが発表されていない時、今思えばコロナのような症状が出て3~4日寝込んでしまったことがあります
この時は福島のいわきでライブがあり車で移動した際、一人が風邪っぽく咳き込んでいましたが、次々とメンバーが同じ症状でライブ前後に寝込んだり帰宅したり寝込んだりしました
私も家族3人で同乗したのですが、3人とも帰宅後に高熱がでて咳き込み寝込みました
その当時はイタリアとか海外で発症者が出始めてたという記憶があります
その後、年があけてからやっと日本でもコロナということが発表されました
さらにその後昨年2022年7月に、コロナで2週間隔離された方とライブをした後、高熱が出て3日くらい寝込んでしまいました
私だけではなく関係者も同じように高熱が出て寝込みましたのでコロナを疑い、検査薬を試しましたが陰性でしたが

手術の経緯

下図右側は4年前今年2022年12月の頸動脈の画像で、左側と比べると片方(顔の右側)の頸動脈が完全に画像から消えていて完全につまっていることがわかります
この4年間に何が起こったかというと、世間を騒がせたコロナです、気づかないうちに二度感染した節があります
コロナが脳梗塞の原因になったのではないかと疑えます
右目に飛蚊症が起こり時折カーテンがおりる黒内障になったのが2年半前くらいです
右目の眼動脈の血流が不足したために黒内障を発症しました
一方の頸動脈がバイパスを作り遠回しになんとか右目をカバーしたということです
しかし、左図に示す場所が 詰まってしまうとたいへんなことになります
もしその一方の頸動脈が完全に詰まったら脳幹、延髄、小脳に血液がいかないため脳死になります

①1回目のステント
2023年2月にステント手術をし、詰まりを修復しました(その3参照)

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しかし半年後血流検査をした結果、別の箇所に内頚動脈狭窄症がわかりました(下図)
前回は脳の中心部に行く血管でしたが、今回は脳全体に行く血管で、言語、記憶、判断、認識などに影響がでます

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左:一回目の時(2023.1月)          右:窄が進行した(11月)

②2回目のステント
今回はあらたにできた狭窄部位にステントを入れる手術でした
1回目は脳の中心部に血液を送る血管ですが、2回目は脳全体に血液を送る血管です
この血管は脳全体に血液を送りますので、完全につまったら半身不随や言語障害、記憶障害、認知症など重篤な障害が出るところでした
手術の結果、ステントが入り見事に狭窄が修復されました(下図)

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手術直前         手術後

脳梗塞は進んでいてもはっきり症状が出ず、入浴時など血圧の急激な変化など条件が重なると一気に発症する病気です
この一連の内頚動脈狭窄症の発見が早かったということと、いい医師に巡り合えたということで、命拾いしました
今回の主治医は脳神経科の鶴田先生ですが、看護師さんの話だと、大阪など地方からこの先生を指名してくるほどの名医だそうです
術後の経過がよく、一日早く退院出来ました

<まとめ>

病歴

2009.10月(58歳)
中咽頭がん(扁桃腺)放射線と外科手術→千葉医療センター(頭頚部:沼田医師執刀)
(症状)喉のリンパ節にしこりができ、半年で大きくなった
(原因)強い酒とタバコの副流煙と仕事上のストレス

2011.11月(60歳)
大腸がん(S字結腸)腹腔鏡手術→虎ノ門病院(消化器外科:黒柳医師)
(症状)時折トイレの水がピンクになる血便(下血)
(原因)強い酒とタバコの副流煙と仕事上のストレス

2016.1月(65歳)
肝臓扁平がん→外科手術(開腹)→虎ノ門病院(消化器外科:進藤医師執刀)
(症状)なし
(原因)大腸がんの転移

2023.2月(72歳)
内頚動脈狭窄症→ステント手術(その1)→虎ノ門病院(脳神経血管内治療科:鶴田医師)
(症状)右目にカーテンがおりる黒内障
(原因)過去の放射線治療とコロナ禍

2023.12月(72歳)
内頚動脈狭窄症→ステント手術(その2)→虎ノ門病院(脳神経血管内治療科:鶴田医師)
(症状)なし
(原因)進行性

★皆さんに気付いてほしいこと

①喉になどしこりが大きくなってきたら、精密検査を受ける
②トイレの水がピンクになったら、すぐに大腸の内視鏡検査を受ける
大腸がんは早期発見が肝臓などに転移をしないよう特に大切です
③目にめまい、飛蚊、カーテンおりるなど異常を感じたら、脳神経血管の検査を受ける

1.早期発見
健康な中期高齢者は普段から用心し油断しないよう体の微妙な変化にも気を付けましょう
ステージ4までいくとリンパを通じていろいろな部位に転移し、命に関わります

2.医者選び
地元の病院だけでなく、人や本などから情報を駆使して名医を探し指名しましょう
現在は紹介状がないと大きな病院には入れないので注意してください

3.健康管理
血圧/メタボ/体脂肪(BMI)/血糖値を知って、万病の元である動脈硬化/糖尿病にも気をつけましょう

今後の課題と対策

再発防止のため
今後の生活習慣によっては早い人で半年後、遅い人では数10年後に発症することもあるそうなので、あと3年くらいは定期的に血流の検査(MRI、エコー、血液検査)を行い経過観察します
継続してサラサラの薬(バイアスピリン錠など)やコレステロールの薬(エパデール錠など)を服用します
喫煙、多量の飲酒/脂ものは避け、軽い運動を欠かさない規則正しい生活を心がけます

最後に

以上で、レポートを終わります
皆様の御健勝をお祈りしております

戸田健治
2023.12.17