月別アーカイブ: 2016年1月

今年の健康キーワード(その6)2016.1.30

痰がなぜ出るようになったのかついて詳しく麻酔の女医に聞きました

全身麻酔の場合は、いろいろな管などを人体に通します

①排尿のための管を膀胱までいれます
②人工呼吸のための管を肺までいれます
③全身麻酔薬の投与のための管(針)を脊髄に刺します
④心電図のプローブ(端子)を胸部に数枚はります
⑤麻酔・生理液を点滴するための針を腕に刺します

このうち①と②は麻酔が効いてから施されるので、いつのまにか管が入ってました

人口呼吸の管が気管支を通して肺に入ると異物が入ったとものと察知し排除する機能が働きます

それが痰となって外に吐き出される要因となっており、私の場合、過去にさらに咽頭がん治療で喉(中咽頭)に放射線を浴びた関係で痰が出にくくなっているとのことでした

その説明で至極納得いたしました

さて、入院したときに便利だと思ったものをいくつか列挙します(ごく当たり前のものは割愛)

・毛布
病院の薄い掛け布団だけでは、冬場は朝方の寒さに少し堪えます
温度調整用に軽いものが1枚はあると助かります

・洗濯ばさみ
ベットのてすりに、タオルやビニール袋を掛けるのにたいへん役立ちます
鼻をかんだり、口をゆすいだりしたときの濡れたティッシュや痰などを容易に入れられます

・マグネット付のハンガー
棚や冷蔵庫の金属面にしっかりと固定できるので、ケーブルや小物掛けにたいへん重宝します

・延長テーブルタップ
パソコンや携帯充電器、その他電気製品を複数台使うときに便利です

・モンダミンライト
歯磨きが面倒なときにはこれで代用することができます

・ポケットテッシュ
どこでも使えて便利ですのでたくさん持っていきましょう

・カレンダー
治療計画や各種スケジュールを記入します

・イヤホン
テレビ用に病院によっては設置されていますが、長くて片耳用が便利です

・ペットボトル
これはたくさんあったほうが便利なので安く多めに仕入れておきましょう

・コーヒーにココナッツオイルを入れる
術後は便秘になりがちなので、快便用の秘密兵器です

・足音のしない室内用の防寒スリッパ
廊下を歩くときにパタパタと音がすると気になるものです
暖かそうなものは履いていてとても気持ちがいい

・使い捨てのプラスチックスプーン

などです

今年の健康キーワード(その5)2016.1.29

本日より全ての管が外れ糸の切れた凧状態となり巣立ちの準備を始めます

一昨日医師より退院はほぼ1週間後と宣言されましたので、2月2日ないしは3日になる見込みとなりました

脊髄麻酔もはずされ経口麻酔薬だけなので幾分咳き込んだときに痛みが出るかもしれませんが、自由に歩けトイレも不自由しておりません

27日の腹部レントゲンでは腸内にガスが溜まっておりましたが歩行をするようになり28日にはガスがほぼなくなり良好な状態となった画像を見せてもらいました

さらにコーヒーも飲めるようになったので、ココナッツオイルを一さじ浮かべて飲み、さらにヨーグルトを添えたら腸の動きも活発になったのは言うまでもありません

病院の食事については一般にまずいといわれてますが、そうそう馬鹿にしたものではありません

ちゃんと味付けもしてあり、肉や野菜なども調理されてます

おかずよりもご飯の量が多いので半分に減らして欲しいと看護師に相談したら、病院食だとついついカロリー不足になるのでご飯の量は減らさないのだそうです

たんぱく質がどうしても足らないようなので、別にチャーシューやウコッケイの生卵などを買い入れて補食しています

私の場合は全粥でしたので、のりの佃煮や梅干などで味付けをしました

江戸ムラサキのことを看護師さんが知らなかったことが、つまらないことですが病室で話題になりました

ついでに当たり前だのクラッカーの会社はとうに無くなったなどと昔のコマーシャル話もでてきました

入院するときの心得を幾つか列記します

●健康な人ほど大病になりやすいので、定期健診は怠らない
→初期段階での治療がはるかに優位であることは私が身をもって証明しました
初期段階で外科手術し術後の痛さでは苦しみましたが、がんで苦しんだことは一切ありません
特に大腸がんはステージが進むと必ずといっていいほど肝臓に転移しますので大腸がん検診と胃カメラは毎年お勧めします(半年でもがんは成長していきます)

●病院を選定することがもっとも重要です
→かかりつけの病院が必ずしもベストとはいえません
町医者から薦められた病院は利権や先輩後輩関係などが絡んでいると思いますので、まずは疑ってかかりましょう
いまやインターネットなどでもいろいろ情報が探れますので自分で病院と医師を決めることが後で後悔をしません
もちろんセカンドオピニオンによる意見交換は絶対に必要です
大腸がんのときは、最初の病院と実際にかかった病院とでは雲泥の差がありました
一回目の咽頭がんの時は、健康に自信を持っていましたので医者の言うことは何でも正しいと思い、全て従いました
それが失敗でした
幾つかの後遺症が残り、それが今でも不自由の源となっております
大腸がんのときは、さすがにその病院の言うことには信用ができずに一生懸命調査した結果、今の病院に落ち着きました
各専門医同士、看護師などとの情報交換がよくできており全てがスピーディに処理されているので、ここなら安心して検査・治療・ケアを受けられると確信しました

●風邪などを少しでもひいた状態での入院は控える

→前述したように咳き込むと傷口に響き七転八倒の苦しみが待っています

●疑問に思ったことや知らないことは遠慮せずに聞いてメモし後で調べる
→担当医には手術の様子を詳しく聞き、必要な画像を撮らせてもらい、医師の所見を細かく尋ねる
→点滴などで訳のわからないものを体に注入されるのは承知できないので、必ずどんな効用がある薬なのかを尋ね副作用についても聞きます
体の調子が時間と共によくなっていくので、いつまでも点滴を続けるのは逆効果になると思い、自分の意思で投与是非を決め相談します
肝機能を強くするもの、抗菌をするもの、胃壁を保護するもの、麻酔薬、栄養、生理食塩水、利尿剤など

●できるだけ、有名人は別として見栄など気にせず4人部屋などで患者同士苦楽を共にするのがいい
→思わぬ情報を得られたりお互いにはげましあったり孤独感から開放されます
次は自分はこうなるんだなあ、と覚悟を決められたり困ったときのノウハウを教えてもらえます
夜中いびきやうめき声に悩まされることも多々ありますが、得られる情報量は大きく貴重な知恵を授かります
もちろん部屋代も格安です(私の場合は廊下側なので1日3食看護付で0円です)

※最近C型肝炎の手術を受けた隣の患者さん(68歳)からすごい新薬の話を聞きました

100%近い治癒率だというものです

ソバルディというもので、3ヶ月で500万円もする高価な薬です(1錠約6万円)

昨年医薬品として認可され保険が適用になったとのことです

調べたらハーボニーという類似薬もありました(1錠約8万円)

ちょうど団塊世代の方で、小さい頃、針を取り替えないで打つ予防注射でウィルスを移されたと話してました

確かに思い当たる節もあります

会社時代私の上司だった方(68歳くらいで今もご健在です)がC型肝炎でインターフェロンを投与していたことを思い出します

これで10年生存率のワースト3位の肝臓がんが改善の方向に向かうのは素晴らしいことです

今年の健康キーワード(その4)2016.1.27

12:30に手術室に入り、全ての準備が完了し10秒ほど経過した時に、美しく澄んだ声で
“戸田さん、おわりましたよ” 

目を開けると美しい二人の天使が私の顔を覗き込んでいました

ここは天国か?

まさにベンチャーズの名アレンジ”Ten seconds to Heaven”(パラダイス・ア・ゴー・ゴー)はここから由来してるのか、深い意味があったんだな、と勝手に解釈しました

時計は15:30なので正味2時間半でした

予定より早かったのは、腫瘍は血管を移植するには及ばなかったようでした

出血も100mlくらいだったので輸血もありませんでしたのでホッとしました

切除した部位は→コチラです(見たい人だけの限定です)

小さく丸く見えるのが腫瘍です(親指と人差し指を丸めたくらいの小ぶりです)

お腹を横にサインペンの長さぐらい、縦に鉛筆の長さぐらいの逆L字型の開腹でした

切断面は焼き、そのままの形で細胞分裂して増殖するものだそうです

数日前に読んだ「修羅走る関が原(山本兼一著)」の義の武将大谷義吉継の切腹と同じ型でした

当時は麻酔をしないでしょうからものすごく痛そうです

即座に首を介錯してもらわなければたまりませんね

肝臓の場合は術後大事をとり1日半ICU(集中治療室)で手厚い看護を受けます

ベッドは居心地がよく若くてきれいな看護師さんも安堵するような話しかけと丁寧な処置をしてくれたのが何より嬉しく思いました

しかし地獄の苦しみはこれから始まりました
前回大腸がんの時にも咳き込むとたいへん痛く、トイレに行くにもベッドの乗り降りにも往生したものでした
ある一定の角度でないととてもじゃないけど、ベッドから降りられません
まるで地球に宇宙船が戻ってくる時の、一定の入射角のようなものです

今回は脊髄から管を通してSPA(自己調節鎮痛法)が施されていたので、ベッドからの乗り降りはさほど苦痛ではなかったが、困ったのは粘っこい”痰”です
術後は痰が絡むのでそれを吐き出さないと息ができなくなるので、咳き込むときにいきみますが、そのときに激痛が走ります

実は次の夜(26日)はその咳き込みが100回くらいあったでしょうか、一晩中寝られませんでした
切ったところがパクッと開くのではないかと、心配してましたがそんな柔な手術ではないと看護師にいわれたのでまずは一安心

SPAで強く鎮静することもできたので、助かりましたが”ゼロゼロ”と痰が絡むのにはたいへん困りました
父と母のときも”ゼロゼロ”すると吸引機で処置をしましたが、看護師さんが強引に処置をするのをみていて、苦しそうだな、と思ってました

さすがに私も辛さに負けそうになり、夜勤の看護師さんに吸引機を依頼しましたが、自力で出せる患者には受け付けてくれませんでした

そんなこんだで昨晩は地獄の苦しみを受けましたがなんとか乗り切り朝を迎えました
医師の往診時に、痰について尋ねたら、起きて歩いて痰を出すしかないとのことでしたので、看護師に相談したら粘っこい”痰”を少しでも水っぽくするネブライザーを使わせてくれました
ネブライザーはぜんぞくの方が使うそうですが、たしかに幾分”痰”にも効果がありました

痛い話ばかりでしたが、これが現状です
なるべく、最先端の治療技術と看護の現状を知ってもらいたく報告をしております
がん治療はこれで3度目のベテランですが、これで次はないと確信しました
今日は、まだ体液排除のドレインとSPAをつけて歩き回っておりますが、明日あたりから外れる模様です

今回のは肝臓がんでなく大腸がんの親子だったとは知りませんでした
朝日新聞(1月26日)の「がん10年生存率をどう見る」を添付しましたのでご参考にしてください

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手術成功 2016.1.25

ご心配をおかけいたしております戸田の件ですが、
本日の午後に行われた手術は、予定より早く終わり、
無事成功したしました。

取り急ぎご連絡させていただきました。

今年の健康キーワード(その3)2016.1.22

本日執刀担当医より明確な説明がありましたが、私の想像とは間逆の癌だったので驚きました

大腸がんの転移ではないと想定しておりましたが、これは”異時性転移の大腸がん”であると明言されました

転移だったらあちこちに癌の芽が飛び散りいろいろな部位で癌ができます

今の今まで転移でないほうがいいものだと思ってましたので、大腸がんからの転移だと聞かされたときには目の前が暗くなりました

医師に

“この間発表された10年生存率で、ワースト2位の肝臓がんでしょうか”

と尋ねたら、

“これは大腸がんです”と

意外にもきっぱり断言されました

肝臓がんなのに大腸がんとは、これいかに?

大腸がんは腺癌といわれる種類に属するもので、アメーバーのようにとげとげがあります

そのとげとげを残すとそれが芽となり他の部位に転移するので周りを幅広く切除します

湿潤している周りのリンパ節まで広範囲に切除する理由です

肝細胞癌は丸く膨張していく癌なのでそれほど広範囲には切除する必要はありません

私の場合は、半年前には米粒くらいだったのが直径17mmぐらいに成長してました

肝臓は細胞分裂により術後一ヶ月で元に戻るので肝臓は肝臓移植が可能な臓器とのこと

肝臓がんというのは肝硬変が元になったがんで、飲酒やウィルスによって引き起こされる

医師は”10年生存率の肝臓がんには、異時性転移の大腸がんは含まれず、単なる大腸がんの範疇にはいるものと定義されている”、とお話されました

それを聞いて、地獄で仏様にあったかのように”助かった”と思いました

10年生存率によると、大腸がんはベスト5に入り平均生存率70%なので肝臓がんの15%とは間逆です

さて、今回の手術的には多少問題があります

部位は小さいが奥にあり静脈に絡んでいるという難度の高い手術のようです

さらに心臓の近くにあるため大きくL字型に開腹せねばなりません

また静脈の合流地点にある血管にもがんが湿潤しているので、一部を切除し他から血管を移植するので3時間程度の手術となります

切除量は数%で済みそうです(肝機能は正常なので70%切除しても大丈夫とのこと)

リスクについては
・止血しながらの手術だが出血が多ければ(1リットル超)輸血となるが、その確率は5%
・術後出血の可能性については0.5%
・胆汁が漏れる可能性は5%(漏れても膿となって排出されるので問題なし)

ひと昔、肝臓がん手術は命がけの大手術だったが、今や医療技術が進歩し輸血なしでも完治できる時代となったのです

さまざまな検査により肝臓がんの存在や性格がわかり、事前に正しい治療法が確立されます

① 肝臓の検査
MRI(磁気)、CT(X腺)、PET(X腺)、腹部エコー、血液検査(マーカー)

② 付帯検査として
心電図、心臓エコー、肺機能検査

まとめると、

・複数のがんマーカーも検知されないので、転移もこれが最後のがんだと考えられる
・やや難易度の高い手術であるが経験豊富な医師グループなので安心できる
・開腹手術であるが退院も10日前後で可能となり、ゴルフも3ヶ月以内で可能
・飲食についてはなんの制限もない(お酒も飲みたった時にオッケー)
・組織を病理検査で保存し万が一再発しても部位からデータを取り込める(新しい試み)

痛みがとれ炎症がなくなり食欲がでてきたら7~10日で退院できるとのことでした

あとは25日が来るのを待つだけ、首を洗いまな板の鯉になるだけです

術後の歩行訓練は2~3日厳しいものがあります(大腸がんの時と同じかな、”あ~、やだぁ”)